「キレイになりました」——カーコーティングの仕上がりで、よく交わされる言葉です。けれど、その「キレイ」とは、いったい何をもって評価できるのでしょうか。前回の記事「研磨技術No.1は何を根拠に?」でも触れたとおり、感覚だけの評価では基準が人によってぶれ、公平性も再現性も保てません。この記事では、「キレイ」を客観的に捉えるという考え方についてお話しします。
「キレイ」は、感覚のままでよいのか
「艶がある」「美しい」「ピカピカ」——これらはすべて、見る人の感覚に依存した表現です。同じ車を見ても、人によって、光の当たり方によって、印象は変わります。感覚は大切なものですが、それだけを頼りにすると、「本当に研磨されているのか」「料金に見合う作業がなされたのか」を、お客様が確かめるすべがありません。
たとえば、店頭の明るい照明の下では美しく見えた仕上がりが、後日、屋外の太陽光のもとで細かな磨き傷(スワール)に気づく——こうした経験は、決してめずらしくありません。これは「キレイ」の基準が、見る環境や人の主観に左右されてしまうことの裏返しです。感覚は大切な要素ですが、それだけでは品質の良し悪しを安定して見極めることが難しいのです。
「ただキレイになった」という曖昧な評価が当たり前になれば、ていねいに下地を整える研磨も、工程を省いた施工も、見た目だけでは区別がつきません。これは、お客様にとっても、誠実に技術を磨く施工店にとっても、望ましい状態とは言えません。だからこそ、「キレイ」を誰もが同じ目線で確認できる“ものさし”が必要になります。
「キレイ」は評価できるのか?|JCAと技能監督官研修
結論から言えば、「キレイ」を評価する方法は、確かに存在します。2012年に設立された一般社団法人 日本コーティング協会(JCA)は、消費者の保護と業界の健全な発展を目的に、技能検定や評価基準づくりに取り組んでいます。「紛らわしい表示やダブルスタンダードを排除する」という姿勢のもと、研磨やコーティングの品質を客観的に確かめる仕組みが整えられてきました。
JCAとケヰテック株式会社・金子代表のご協力のもとで行われた「SGM技能監督官」育成研修では、「キレイの評価」が必修項目に位置づけられています。評価の専門家を育てる場で必修とされるほど、「キレイ」は感覚の話にとどまらず、根拠をもって語れる領域になりつつあるのです。
こうした研修や技能検定の積み重ねは、施工者一人ひとりの技術を底上げします。そしてそれは、めぐりめぐって、お客様が受けられるサービスの質そのものを引き上げていきます。「キレイ」を評価できるということは、単なる測定の話ではなく、業界全体で品質を高め合うための共通の土台でもあるのです。
日本コーティング協会(JCA):2012年設立。消費者保護と業界の健全化を目的に、技能検定・評価基準を整備。
SGM技能監督官 育成研修:金子代表ご協力のもと、「キレイの評価」を必修項目として実施。
「キレイ」を評価する意味|お客様を守る“ものさし”
「キレイ」を客観的に確認できることには、もう一つ大切な意味があります。それは、お客様を不確かな情報から守るということです。コーティング業界では、「鏡のような輝き」「ナンバーワンの艶」といった、根拠のはっきりしない表現が見られることがあります。こうした表示は、消費者庁が景品表示法(不当表示の禁止)で戒めているものでもあります。
大切なのは、印象的な言葉よりも、確かめられる根拠です。仕上がりを客観的なデータで示せれば、お客様は「言葉のイメージ」ではなく「事実」をもとに、納得してお店を選べます。これは、まじめに技術を磨く施工店が正しく評価されることにもつながり、業界全体の健全化を後押しします。日本コーティング協会が「紛らわしい表示の排除」を掲げているのも、同じ思いからです。
なぜ「色」で“キレイ”を捉えられるのか
「キレイ」を客観的に捉える鍵が、測色(そくしょく)という考え方です。ツヤとは、突き詰めれば「光がどれだけ整って反射するか」。研磨が不十分で微細な傷が残ると、光が乱反射して白っぽく濁り、塗装本来の色から離れて見えます。逆に下地が整うほど乱反射が減り、塗装本来の色が深く、正確に現れます。
イメージしやすいように言いかえると、磨りガラスと鏡の違いに近いかもしれません。表面が荒れていると光は乱反射してぼやけ、白っぽく見えます。表面が整うほど光はまっすぐ反射し、奥にある本来の色がくっきりと現れます。研磨で下地を整えるとは、まさにこの「光の通り道」を整える作業なのです。
つまり「色の出方」を確認することは、「面がどれだけ整っているか(=キレイ)」を捉えることにつながります。これが、感覚的だった「キレイ」を“色のデータ”として確認できる理由です。この考え方は、ケヰテック株式会社・金子代表の書籍『塗膜研磨の科学的アプローチ』にもとづくものです。

画像はケヰテック株式会社 金子代表の『塗膜研磨の科学的アプローチ』書籍より
具体的には、塗装面の明るさを示す明度(L*)や、色のばらつきを示す色差(ΔE*ab)といった指標で確認します。ただし、ここで誤解されがちな点があります。「数値が下がるほどキレイ」ではありません。たとえば濃色車は、乱反射する微細な傷が消えると“より深い黒”に近づいて明度が下がり、淡色車はくすみが取れて明るく見えます。狙いは数値の上げ下げではなく、塗装本来の状態へ近づける(復元する)こと。そして色のばらつき(ΔE*ab)が小さいほど、面が均一で安定した艶に整っている目安になります。
◆ 私たちが大切にしていること
数値はあくまで一つの手がかりです。測る位置・光・塗装の状態によって変わり、高低だけで優劣を断じることはできません。だからこそ私たちは、数値だけをお見せするのではなく、なぜそう言えるのかを、お客様とご一緒に確認できることを大切にしています。判断はお車の状態や色によって変わるため、画一的な指標としてではなく、対話の中で丁寧にご説明します。
光沢計との違いは?|それぞれの“得意”を知る
「艶を測る」と聞くと、光沢計(グロスメーター)を思い浮かべる方もいらっしゃいます。光沢計は、塗装面が光をどれだけ強く反射するか(光沢度・GU)を測る機器で、それ自体は有用な道具です。ただし、光沢度の高さは「ツヤの強さ」を示すものであり、面が均一に整っているか、塗装本来の色が出ているかまでを、そのまま表すわけではありません。
測色は、塗装面の「色の出方」を通じて、面の整い具合や乱反射の少なさを捉えます。どちらが優れているという話ではなく、見たいものによって適した道具が変わる、というのが実際のところです。私たちが測色を重視するのは、お客様と同じデータを見ながら、研磨で面がどれだけ整ったのかを共有しやすいからです。こうした道具ごとの違いや使い分けについても、お車を前に直接ご説明します。
「キレイ」を確認できると、何が変わるか
「キレイ」を客観的に確認できると、お客様にとっていくつもの安心が生まれます。研磨の品質を、感覚ではなくデータで確認できる。新車時の状態を基準にしておけば、その後の艶の推移や、研磨後の変化も振り返れる。そして、施工の根拠を同じ目線で共有できることが、何よりの信頼につながります。
これは、その日の仕上がりだけの話ではありません。愛車とは、これから何年も付き合っていくものです。納車時の状態という“出発点”を記録しておくことで、数年後にメンテナンスを考えるときも、「どこから・どれだけ変化したのか」を手がかりに、無理のない計画を立てられます。客観的な基準があることは、施工する私たちにとっても、ごまかしのきかない誠実な仕事を続ける励みになります。
施工品質の確認:研磨レベルを客観データで確認でき、安心して任せられます。
変化の把握:納車時を基準に、艶の推移やメンテナンス計画を立てやすくなります。
納得感:仕上がりの根拠を、データとともにご説明します。「キレイ」を一緒に確かめられます。
よくあるご質問

まとめ|「キレイ」を、納得して共有できるものへ
「キレイ」は、もう感覚だけの言葉ではありません。測色という考え方によって、研磨や仕上がりの品質を、お客様とご一緒に「同じ目線」で確認できる時代になりました。大切なのは数値そのものではなく、その根拠を理解し、納得して進めること。エコスタイル熊本は、「キレイ」を共通の言葉として共有できる施工を目指しています。カーコーティングや車磨き研磨について、どうぞお気軽にご相談ください。
エコスタイル熊本
代表取締役 田中 和美
会長 渡邊 晃
測色計を用いた評価方式について
この評価方式は日本コーティング協会が、月刊BSRに連載された、「研磨した塗面のツヤを測色する」(ケヰテック株式会社 金子代表投稿)の内容に基づき、金子代表立会いのもとご協力いただき、更に工夫を重ね出来上がった評価方式になります。
日本コーティング協会は、お客様にワンランク上のコーティング・サービスを提供するとともに、優れたコーティング技術の存在を一般に広く知らしめることで、お客様の満足度向上と業界のボトムアップを図ることが目的で活動しております、従いまして、興味がある方は、必ず当協会にお声をお掛けください。
評価方法のみを真似ることではなく、なぜ、ツヤが測色できるのか?、ツヤの色による数値化が必要なのか?、それの根拠、他の方法との比較や優劣、注意点など、を丁寧に説明して、話し合うことが出来ます。

Facebookコメント