洗車キズは「消えた」のか「埋まっただけ」か|傷消しコーティングと光沢の数字で誤解しないための見分け方
「洗車でついた傷が気になって、傷消しコーティングをしたけれど、本当に消えたのかな?」——そう思ったことはありませんか。洗車キズを「消す」には、塗装の表面を磨いて整える研磨が必要です。コーティングや傷消しコーティング剤は、傷の溝を油分や被膜で埋めて、見えにくくしているだけ。埋まっただけの傷は、洗車や時間の経過、強い日光の下で、また見えてきます。
しかもこの「埋まっただけ」の状態は、光沢の数字(光沢度)が上がったことだけでは見分けられません。誤解を防ぐために知っておきたい「消す」と「埋める」の違いと、本当に磨いて消したかを確かめる方法を、車磨き(研磨)にこだわってきたエコスタイル熊本がお伝えします。施工店・業者の方へのご案内は、記事の最後にまとめています。
この記事の要点
- 洗車でついた傷は、塗装の表面にできた細いへこみ(溝)です。消すには、塗装を磨いて傷を細かく置き換える研磨が必要です。
- コーティングや傷消しコーティング剤は、溝を埋めて目立たなくするだけ。傷は消えていません。
- 埋まっただけの傷は、洗車・脱脂・時間の経過・強い日光や照明で、また見えてきます。
- 光沢計で測る「光沢度」は、油分で溝を埋めるだけでも上がることがあります。「光沢度が上がった」は、磨いて消した証拠になりません。
- 施工店では「脱脂してから」「強いライトの下で」仕上がりを見せてもらうのが、見分ける近道です。
傷や磨き跡のご相談はお気軽に(お見積りは無料です)。LINEなら、お車の写真を送ってのご相談もできます。
こんな経験はありませんか?
- 「傷消しコーティングで消えたはずの傷が、何回か洗車したらまた見えてきた」
- 「磨いてもらった直後はピカピカだったのに、数か月たつと、日光の下で磨き跡がギラギラ見える」
- 「『光沢度が◯%アップしました』と言われたけれど、本当に良くなったのか分からない」
- 「黒い車の傷が気になる。自分で消せるのか、お店に頼むべきか迷っている」
- 「お店によって『消せます』『消えません』と言うことが違う」
どれも、「消えた」と「埋まっただけ」の違いが、見た目では分かりにくいことから起きています。
洗車キズとは?——塗装の表面にできた細い「溝」
洗車のときの摩擦などで、塗装の表面についた細い傷のことです。傷は、塗装に何かが付いたものではありません。その部分の塗装がなくなってできたへこみ(溝)です。
細かな傷がたくさんあると、塗装は白っぽくぼやけて見えます。黒や紺などの濃い色ほど、この白っぽさが目立ちます。

傷を「消す」と「埋める」は、まったく別物です
消す=研磨で、傷を細かく置き換えること
へこんだ傷を、元どおりにふさぐことはできません。研磨では、いまある傷より少しだけ浅い傷を、バフとコンパウンドで広く磨き付けていきます。これを段階的にくり返し、最後は目で見えないほど細かな傷に置き換えて、表面を平らに整えます。これが、傷を「消す」ということです。
ただし研磨は、やり方によっては塗装に傷を増やしてしまうこともある、繊細な作業です。
埋める=油分や被膜で溝をふさいで、見えにくくすること
一方、コンパウンドに含まれる油分(パラフィンやシリコーンなど)、ワックス、コーティング剤などは、塗装に残った細かな傷の溝を一時的に埋めて、表面をなめらかに見せます。見た目はきれいになりますが、傷そのものは残っています。いわば「見かけのツヤ」です。
| 消す(研磨) | 埋める(油分・被膜) | |
|---|---|---|
| 何をするか | 傷を細かな傷に置き換えて、表面を平らに整える | 傷の溝を、油分や被膜でふさぐ |
| 傷はどうなるか | 目で見えないほど細かくなる | 残ったまま、見えにくくなる |
| 時間がたつと | 脱脂や洗車で油分が落ちても、仕上がりは変わらない(新しい傷がつくことはある) | 洗車・時間・日光などで、また見えてくる |
| 施工直後の見た目 | きれい | きれい(見た目だけでは区別しにくい) |
埋まっただけの傷は、こんなときにまた見えてきます
- 洗車したとき——油分や被膜が落ちて、隠れていた溝が出てくる
- アルコールなどで脱脂したとき——塗装の「素肌」があらわになる
- 時間がたったとき——雨や年月で、油分や被膜が抜けていく
- 強い日光や、はっきりした照明に照らされたとき——細かな溝が光って浮かび上がる
施工の直後はピカピカだったのに、数か月たって日光や水銀灯の下でギラついて見えてくる——そんなときは、傷が消えていたのではなく、埋まっていただけの可能性があります。
傷消しコーティングやコーティング剤で、傷は消える?
消えません。コーティング剤や、傷を埋めるタイプの傷消し剤は、傷の溝に成分を入れて表面を覆い、傷を見えにくくしているだけです。塗装の傷そのものを削って置き換えているわけではありません(研磨剤=コンパウンドが入った商品は、磨いて傷を減らすタイプです)。
市販の商品には、「傷を埋めて目立たなくする」とはっきり書いているものもあります。目立たなくすること自体が悪いわけではありません。大切なのは、それを「消えた」と思い込まないこと。そして、お店に料金を払って頼むときに、「磨いて消したのか」「埋めて隠したのか」を分からないままにしないことです。
「光沢の数字」だけでは、埋まっただけの傷は見分けられません
「光沢度が◯%アップ」など、ツヤを数字で示す説明を見かけることがあります。光沢度は、光沢計という道具で測る数字です。光沢計は、塗装の表面で光が鏡のようにはね返る量(正反射の量)を測ります。ところがこの数字は、研磨の仕上がりを正しく表しません。
コンパウンドを塗って拭いただけで、しっかり磨いた面と同じくらいの数字に
ケヰテック株式会社の金子幸嗣社長の著書『塗膜研磨の科学的アプローチ』には、こんな実験が載っています。ウールバフで磨いて白っぽくぼやけた面は、脱脂した状態で光沢度(20°)が55.0でした。そこに仕上げ用の細かなコンパウンドを塗って拭き上げただけで、光沢度は74.0まで上がりました。しっかり磨き上げた面(71.2)とほぼ同じか、それを上回る数字です。
つまり光沢計の数字だけでは、「油分で埋めて出たツヤ」と「研磨で引き出した本物のツヤ」を見分けられないことがあります。ワックスやコーティングの被膜を塗るだけでも、光沢度が上がることがあります。
磨き跡が残った面のほうが、数字が高く出ることも
同じ本には、黒い塗装での測定例も載っています。磨き跡(オーロラマーク)が目で見て分かる面の光沢度が79.4、ダブルアクションのポリッシャーで仕上げた面が78.0、磨く前の塗装が77.57。磨き跡の残った面の数字が、仕上げた面や磨く前の塗装より高くなりました(著者は、測定の誤差も含めて慎重に見るよう添えています)。
だから日本コーティング協会は、光沢計ではなく測色計で確かめます
研磨の仕上がりを正しく確かめるため、日本コーティング協会は、光沢計ではなく測色計を使い、艶の違いを「色の変化」としてとらえる評価方式をつくりました。これは日本コーティング協会が、ケヰテック株式会社 金子社長のご協力のもと確立した、世界初・業界初の評価方式です(艶を測色計で測る考え方は金子社長の発案で、金子社長の資料では、2017年6月から業界誌「月刊BSR」で発表するまで、ほかに試みられた例はない技術とされています)。くわしくは「車のコーティング専門店、おすすめの選び方」でご紹介しています。
オーロラマーク・バフ目とは?
バフ目は、ポリッシャーに付けたバフとコンパウンドが回転してこすれることでできる、磨き傷そのものです。
オーロラマークは、同じ形と大きさのバフ目が規則正しく並び、強い日光やライトが当たったときに、ライン状にギラギラと浮き上がって見える現象です。シングル回転のポリッシャーで磨いたときなどに出ます。
どちらも、油分や被膜で一時的に見えなくなることがあります。施工の直後に見えなくても、安心はできません。
納得して選ぶために——施工店で確かめたい5つのこと
- 「磨いて消しますか? それとも埋めて目立たなくしますか?」と聞く——違いをはっきり説明してくれるお店を選びましょう。
- 仕上がりは「脱脂したあと」に見せてもらう——アルコールなどで油分を拭き取った、塗装の「素肌」の状態で確かめるのが基本です。
- 強いライトを当てて、角度を変えて見る——暗い場所で、はっきりした明るいライトを1灯だけ当て、いろいろな角度から見ると、バフ目やオーロラマークが浮き出てきます。晴れた日の日光の下でも確かめましょう。
- 「光沢度◯%アップ」などの数字は、何で測ったのかを聞く——光沢計の数字は、埋めただけでも上がることがあります。
- 研磨の前と後を、数字で確かめているかを聞く——日本コーティング協会の評価方式で数値を記録しているお店は、協会のJCA公式認定 施工店マップで探せます。
自分で洗車キズを消したいときに知っておきたいこと
市販の「傷消し」「傷埋め」とうたう商品には、溝を埋めて目立たなくするタイプと、研磨剤(コンパウンド)で磨いて傷を減らすタイプがあります。埋めるタイプは、洗車をくり返すと、また見えてくることがあります。
コンパウンドで磨くのは研磨です。研磨はやり方によって、かえって傷を増やしてしまうこともあります。ご自分で磨くときは、次のことに気をつけてください。
- 先に洗車して、砂やほこりを落としてから磨く(砂を巻き込むと、傷が増えます)
- 目立たない場所で試してから始める
- 力を入れすぎず、同じ場所を磨きすぎない(磨くほど、塗装は薄くなります)
- 炎天下や、ボディが熱いときは作業しない
- 電動のポリッシャーは、慣れないうちは使わない(熱で塗装を傷めたり、磨き傷を増やしたりすることがあります)
- 換気をよくし、手袋をつけるなどして、商品の説明書と注意書きを守る(目や肌に付いたときの対処も、先に確かめておく)
黒い車や、広い範囲の傷は、無理をせず研磨の専門店に相談するのがおすすめです。
エコスタイル熊本の研磨——「脱脂してから」「数字で」確かめます
エコスタイル熊本では、太陽光に近い明るさの照明(通称デビルビーム)で傷を細かく確かめながら研磨を進めます。イソプロピルアルコール(IPA)でコンパウンドの油分を取り除き、最後に温水の手洗い洗車で油分を落としてから、仕上がりを確かめます。
さらに2016年からは、研磨の前と後の艶を測色計で数字にして確かめてきました(日本コーティング協会の「測色計の導入認定店」)。料金と内容は「外装研磨・車磨き」のページをご覧ください。
よくあるご質問
Q.洗車でついた傷は、コーティングで消えますか?
A.消えません。コーティングは、傷の溝を被膜で覆って見えにくくすることはありますが、傷そのものは残っています。消すには、研磨で傷を細かく置き換える必要があります。
Q.傷消しコーティング剤(傷埋めコーティング剤)は、意味がないのですか?
A.目立たなくする効果はあります。ただし傷は残っていて、洗車や時間の経過でまた見えてくることがあります。「消えた」のではなく「埋まっている」と知ったうえで使いましょう。
Q.施工直後はきれいだったのに、数か月で傷が見えてきたのはなぜですか?
A.油分や被膜で一時的に埋まっていた傷が、洗車や時間の経過で抜けて、見えてきた可能性があります。仕上がりを脱脂してから確かめていたかを、施工店に聞いてみてください。
Q.「光沢度が上がりました」と言われました。しっかり磨けているということですか?
A.光沢計の数字だけでは分かりません。光沢度は、コンパウンドの油分やワックス、コーティングの被膜で溝を埋めるだけでも上がることがあります。磨き跡が残った面のほうが高く出た測定例もあります。
Q.オーロラマークとは何ですか?
A.同じ形のバフ目が規則正しく並び、強い日光やライトの下でライン状にギラギラ浮き上がって見える現象です。油分や被膜で一時的に見えなくなることがあります。
Q.埋まっただけかどうか、自分で見分けられますか?
A.洗車のあとや、晴れた日の日光の下で、角度を変えて見てみてください。より分かりやすいのは、施工店で脱脂してから、強いライトを当てて仕上がりを見せてもらうことです。
Q.黒い車の傷も、磨けば消せますか?
A.研磨で目立たなくすることはできます。どこまで消せるかは、傷の深さや塗装の状態によって変わるので、まずはお車の状態を見せてください。
Q.洗車でついた傷を研磨で消すと、料金はいくらくらいですか?
A.車の大きさ、傷の深さ、塗装の状態、磨く範囲で変わります。当店の料金は「外装研磨・車磨き」のページに載せています。LINEなら、お車の写真を送ってのご相談もできます(お見積りは無料です)。
Q.洗車で傷がつくのが気になって、洗車が不安です。どうすればいいですか?
A.傷を増やしにくい洗い方は「車の黄砂対策と、傷・シミを防ぐ正しい洗い方」と「洗車機は傷がつく?手洗い洗車は傷がつかない?」でご紹介しています。すでについた傷が気になるときは、「消えた」のか「埋まっている」のかを確かめたうえで、研磨で整えるかどうかを考えましょう。
Q.研磨とコーティングは、どちらが先ですか?
A.先に研磨で傷を置き換えて表面を整え、脱脂してからコーティングを塗るのが基本です。コーティングは傷を消すものではなく、整えた塗装を守るものです。
まとめ:傷は「消えた」のか「埋まっただけ」か、見分けてから選ぶ
細かな傷を消すには、研磨が必要です。コーティングや、傷を埋めるタイプの傷消し剤は、溝を埋めて見えにくくするものです。埋まっただけの傷は、洗車や時間、日光でまた見えてきます。そして、光沢の数字だけでは見分けられません。
施工店では「磨いて消すのか」を聞き、脱脂してから、強いライトの下で仕上がりを見せてもらいましょう。それが、納得のいくお店選びの近道です。
傷・磨き跡は、脱脂してから数字で確かめる研磨で。ご相談・お見積りは無料です。
目的別:次に読む記事
研磨の料金・内容を知りたい方
▶ 外装研磨・車磨き 熊本|料金と、仕上がりを数値で記録する研磨
傷をつけにくい洗い方を知りたい方
コーティング専門店の選び方を知りたい方
▶ 車のコーティング専門店、おすすめの選び方|6つのチェックと世界初「艶の数値化」
▶ カーコーティングの仕上がりは数値でわかる?研磨品質と施工店の見極め方【熊本】
ご相談
施工店・業者の方
施工店・業者の方へ——「光沢度アップ」の説明を見直しませんか
ここからは、コーティング・研磨の施工店の方へのご案内です。
「光沢度が◯%アップしました」という説明は、お客様に分かりやすい一方で、この記事で見てきたとおり、油分や被膜で溝を埋めるだけでも数字が上がることがあります。脱脂する前の数字だけをお伝えすると、お客様は「磨いて傷を消した」と受け取るかもしれません。
研磨の仕上がりをお伝えするときは、脱脂してから確かめ、どの道具で、どんな条件で測った数字なのかも添えることをおすすめします。
光沢計の数字だけでは研磨の仕上がりを評価できない理由は、書籍の実験の数字とあわせて、施工店向けのページ「光沢計の数字だけで、研磨の仕上がりを評価できない3つの理由」にまとめています。
日本コーティング協会は、光沢計ではなく測色計で研磨の仕上がりを確かめる評価方式を、紹介・推薦と専門講習を経た会員に伝えています(測色計を用いた評価方式の導入)。この評価方式と、2026年に発売された分光測色計「Kei26」は、「車のコーティング専門店、おすすめの選び方」の最後でもご紹介しています。
エコスタイル熊本では、研磨の理論と技術を学ぶプロ向けの研磨講習も行っています。くわしくは「プロ向け研磨講習」のページをご覧ください。
この記事で参考にした資料
- 金子幸嗣『塗膜研磨の科学的アプローチ ― 磨き作業の哲学的思考』(株式会社プロトリオス、2022年)(PART1「研磨処理と観察・測色」、PART2「塗膜研磨の体系的考察」)
- 日本コーティング協会「測色計を用いた評価方式の導入」
車のお手入れ専門店 エコスタイル熊本(運営:株式会社 and CLEA)
〒861-8034 熊本県熊本市東区八反田1丁目3-78
TEL:096-223-5536/公式LINE/お問い合わせフォーム
測色計を用いた評価方式について
この評価方式は日本コーティング協会が、月刊BSRに連載された、「研磨した塗面のツヤを測色する」(ケヰテック株式会社金子代表投稿)の内容に基づき、金子代表立会いのもとご協力いただき、更に工夫を重ね出来上がった評価方式になります。
日本コーティング協会は、お客様にワンランク上のコーティング・サービスを提供するとともに、優れたコーティング技術の存在を一般に広く知らしめることで、お客様の満足度向上と業界のボトムアップを図ることが目的で活動しております、
従いまして、興味がある方は、必ず当協会にお声をお掛けください。
評価方法のみを真似ることではなく、なぜ、ツヤが測色できるのか?、ツヤの色による数値化が必要なのか?、それの根拠、他の方法との比較や優劣、注意点など、を丁寧に説明して、話し合うことが出来ます。

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